「歌うと必ず声が枯れてしまう」「喉が痛くなる」
こういったことありませんか?
この悩みを解決するために歌に詳しい人に相談したり、ネットや本などで検索してみると必ず
「喉が締まっているので、声帯への負担をおさえるためにも喉を開くように!」
と言われる(書かれている)と思います。
そこで今回は「喉を開く」とはどういうことなのか、そして、自分が開いているのか確認する方法や締まってしまう時の解決方法についてご紹介していきたいと思います。
「喉を開く」とは?

喉を開くとは、息と声の通り道である「咽頭(いんとう)」を開いておくことを言います。
咽頭(いんとう)とは、鼻から食道に続いていく部分のことです。
歌う時には、この咽頭を開いて、息と声が妨害を受けずにすんなり流れるようにしてあげることが大事です。
咽頭が締め付けられていると、息と声がすんなり流れることができません。
すると、思うように声が出ないので、ますます力を入れて押し出そうとする悪循環に陥り、あなたの身体の中で無意味な戦いが始まってしまうことになります。
喉を締め付けているのもあなた、そして、その締め付けに対抗して声を押し出そうと戦っているのもあなた。これってとっても無駄なエネルギーを費やしていますよね?
また、喉の締め付けは声帯への負担も大きいですし、「頑張って歌っているのに、それほど声が出ない」という悲惨な状態を作ってしまうんです。悲しいですよね。
喉を開いて、滑らかに流れる息に声を乗せて歌うことができるようにそれだけでかなり歌が上手くなります。
といっても、悪いクセを取り除いてフラットな状態に戻すだけのこと。
その上で、声帯をストレッチする技を身に付けると、自由自在に歌うことが可能になります。あなたの感情が思い通り声になる……そんな理想的な状態です。
まずはそのための始めの一歩として「喉を開く」ことは必ずマスターしておきましょう!
「喉を開く」感覚をつかむ方法と注意点

では早速、喉が開いた感覚をつかんでみましょう。
喉を開く感覚をつかむ方法
- 肩の力を抜いてリラックスします。
- 口から軽く少量の息を吸います。
- 口の奥に冷たい息を感じます。
口の奥に冷たい息を感じたとき、喉が開いた状態になっています。
喉が開いた感覚を1日でマスターすることは難しいですから、感覚がつかめるまで気長にコツコツ繰り返してください。
そして、以下の3点に注意して確認してみてください。
息は吸い過ぎない
息を吸う際は、口の奥に冷たい息が当たるのが分かる程度で十分です。
息を吸い過ぎていると、喉の乾きが激しくなりますので、吸う息の量を減らしてみてください。
それでも喉に乾きを感じたら、水を飲んで喉をうるおしてくださいね。
吸った状態で息を止めないようにする
喉が開いた感じを確かめようと、吸った息を止めると、喉が締め付けられてしまいます。
リラックスした状態=最も喉が開いている状態と覚えておく
「喉を開く」というと、頑張ってできるだけ開こうとして、逆に力を入れてしまう場合があるので気を付けてください。
「喉を開く」とは、喉が完全にリラックスしている状態のことです。
咽頭の周りは筋肉ですので、力を入れると緊張で締め付けられてしまいます。
ですから、無理に開こうとして力を入れると、逆に締め付けてしまうんです。
また、咽頭は「共鳴」という役割を担っていますので、声のボリュームにも影響を及ぼします。
ゆったりリラックスさせておくことで、最大限に共鳴の機能を発揮することができるんです。
歌う時に喉が開いているか確認する方法

今度は、実際に声を出した状態であなたの喉が開いているか確認してみましょう。
喉が開いているか確認する方法(単音)
- 声を出していないリラックスした状態で手のひらを首に当ててみます。
→喉が緩んでいる感じが分かると思います。喉が緊張していない状態です。その状態をよく確認します。 - その状態から楽な出しやすい高さで「a (アー)」と声を出してみましょう。
どうでしょうか? あなたの喉に変化がありましたか?そのままでしたか?
では、あなたの喉の状態が喉を開いたまま単音を発声できているか良い例と悪い例をあげますので、チェックしてみましょう。
声を出す前と、「a」と声を出したときで 首の周りの筋肉に変化がない
声を出すと、首の周りの筋肉が硬くなってしまう
「a(アー)」と単音で喉に力が入らず声が出せたら、喉が開いたまま声が出せている証拠です。
もし力が入ってギュッと硬くなってしまったら、残念ながら、声を出すと喉が締め付けられる悪いクセがあるということになります。
喉が開いた状態だと、首周りの感覚が何も変わらずに声が出せるんです。
声を出していないリラックスしているときと、声を出したときの首周りの柔らかさ、ゆるみ加減は変化しないんです。
また、「a(アー)」と単音なら喉に力を入れず声を出せても、曲を歌うと喉が締まるケースもあります。
そこで、次は好きな曲を歌って確認してみましょう。
喉が開いているか確認する方法(歌)
- 声を出していないリラックスした状態で、手のひらを首に当ててみましょう。
→先ほどと同じように喉が緩んでいる感じを確認します。 - その状態から好きな曲を歌ってみましょう(無伴奏でOK)。
ここでも、喉を開いたままメロディを歌うことができているか、首の周りの筋肉の変化を単音のときと同じようにチェックしてみましょう。
声を出す前と、メロディを歌ったときで、首の周りの筋肉に変化がない
声を出すと、首の周りの筋肉が硬くなってしまう
メロディを歌っても喉に力が入らず声が出せたら、喉が開いたまま声が出せていることになります。
これらの確認方法を試してみて、残念ながら喉が締まっているということがわかってしまった方は次の解決方法を参考にしてみてください。
喉が締まっている時の解決方法

先ほどの確認で喉を締め付ける悪いクセがあることが発覚した方は、喉の力を抜きながら声を出せるようトレーニングしていきましょう。
このトレーニングをする際は、決して大きな声を出すことを優先させず、喉に力が入らないことを優先させてくださいね。
喉の締め付けの解決方法
- 喉が開いているか確認した時と同じように首に手のひらを当てておきます。
- 先ほどと同じように「a(アー)」と楽に出しやすい高さで声を出します。
- 今度は喉に力がグッと入らないように、首を左右にゆっくり振りながら声を出してみてください。
こうして首を振りながら声を出すことで、力が入りにくくなったのではないでしょうか?
また、母音の「a(アー)」のほか、「i (イー)」「u(ウー)」「e (エー)」「o (オー)」でも試してみましょう。
人それぞれ発声のクセがあるので、最初は出しやすい母音と出しにくい母音があると思います。楽に出せる母音で練習してみてください。
では、最後にリラックスして歌うことができているか、喉の締め付けが完全に解決されているかチェックです。
小さな声だけど喉がリラックスしている
大きな声を出して喉に力が入る
悪い例のようになってしまう方は、喉を締め付けることなく、滑らかに声が出せるようになるまで繰り返し、解決方法を毎日のトレーニングに追加してみましょう。
喉が開いているのが当たり前という無意識レベルにまで落とし込めるようになるまで、ぜひトレーニングしてみてください。きっと歌うことがもっと楽しくなると思いますよ!