ボイストレーニング

【ファルセット】綺麗な正しい裏声の出し方と練習法

ファルセット(裏声)の必要性

プロの歌手がキーが高い歌を綺麗なファルセットで歌っていると、自分も出してみたいという気持ちになりますよね。

ハリネズミくん
ハリネズミくん
僕はEXILEのATSUSHIさんの歌を聴いていると出したくなるなぁ
カエル先生
カエル先生
あんな風に綺麗なファルセットが出せたら歌も楽しいものになるね

ファルセットを出す際には、ただ高い声を出すからといって、力んだりせずに、全身をリラックスして歌うのがコツです。

また、トレーニングをする上ではできるだけ柔らかい声優しい声をイメージすることも大事になってきます。

 

ということでこの記事では、あなたが息漏れのない響きのある綺麗なファルセットを手に入れるための方法についてご紹介していきたいと思います。

ファルセット(裏声)の必要性

ファルセット(裏声)の必要性まずはなぜ歌において裏声が必要なのか。
ファルセット(裏声)の必要性について少しお話ししておきます。

 

まず前提としてファルセットは、女性より男性の方が苦手な方が多いです。
苦手というより、自分の中に存在しないものという感覚かもしれません。

しかし、女声であれ男声であれ、地声もファルセットもちゃんと存在しているんです。
ただ、成人してから使わなかったので、どこか奥の方に隠れてしまっているだけです。

 

そういう事もあってか時々、男性で「ファルセットは使わないので」という考えをお持ちの方がいます。
ファルセットを曲の中で使う、使わないはあなたの歌唱スタイルなので、どちらでも構いません。

 

しかし、あなたは声域を下にも上にも広げ、より鍛えられた声を目指したいのではないでしょうか?

そのためのボイス・トレーニングの一環として、ファルセットのトレーニングは不可欠です。

 

ファルセットは柔らかい女性的な声なので、抵抗を感じるかもしれません。
でも、ファルセットは、力を抜いた状態で高音を出すことを身に付けるために通るべき道です。
このファルセットを無視して、いきなり高音に強さを求めると必ず伸び悩みます。

 

逆にここをきちんとマスターすると、高音域はスイスイ伸びていくんです。
そして、最終的には、声帯を正しく使った強い高音へと発展させていきます。

なので変な先入観は持たずに、あなたの中でほこりまみれでくすぶっていたファルセットを探し出して、ピカピカに磨いてあげましょう。

 

ちなみに私の経験上、最初はファルセットに抵抗を感じていた人も、トレーニングを続けていくうちに、だんだん変なこだわりはなくなっていきます。

「楽に高音が出せるようになった!」
「今まで出なかった高音が出せるようになった!」

と感じると、やっぱりうれしいものですよね。

 

そして、今まで出せなかった新たな声質を使えるようになると、曲の中でも使いたくなるものなんです。
変化に富んだ声を使い分けられたら素敵じゃないですか!

 

ちなみに女性でも、力任せに歌うタイプの方は、ファルセットを見つけるのに苦労します。
でも、あきらめないで続けてください。
そんな力任せに歌っていた人こそ、このファルセットの練習は重要で、その力みグセを解消するのにとても役立ちます。

このタイプの方は、声帯にものすごい負担をかけています。
ファルセットは声帯をお休みさせてあげる効果もあるので、声帯にとても優しいのです。

 

そして、将来的にはあなたの歌唱の幅を広げることにつながります。
楽しみにしていてくださいね。

ハリネズミくん
ハリネズミくん
なんかファルセットってすごい…!
カエル先生
カエル先生
使いこなせたらボーカリストの武器になるよ!

綺麗な正しいファルセット(裏声)とは

綺麗な正しいファルセット(裏声)とは

では、いよいよ綺麗な正しいファルセットを確認してみましょう。

全身をリラックスすることは、最低音から最高音までどんなときにも共通の必須事項なので、ファルセットのトレーニングでもやっぱりリラックスしましょう。

 

そして、できるだけ柔らかい声、あなたが出せる一番優しい声をイメージしてください。

また、子供になった気持ちで、楽しげに、無邪気にトライすることがポイントです。
決して眉間にしわを寄せて怖い顔にならないように気を付けてください。
真剣になればなるほど、知らず知らずのうちに怖い顔になりますよ。

基礎練習

まずはファルセットで「a(ア)〜〜〜」と出してみましょう。

これを、「u(ウ)」「o (オ)」「wi (ウィ)」など、あなたにとって楽に出せる言葉で繰り返し練習します。

 

声の大きさではなく、リラックスしている感じや、息の量や流れ、声が響いている場所を意識してくださいね。

声の高さは、普段しゃべるときよりも少し高めを意識します。

高くし過ぎて喉が締まったり、力が入ったりしてはいけません。
あくまでもリラックスを維持できる範囲で、普段しゃべるときより高めを意識することがポイントです。

 

「高く」と意識すると力んでしまうこともありますので、その場合は、「いつもより柔らかい声」とイメージしてみてくださいね。

そうするとファルセットらしくなっていきます。
最初はぎこちないと思いますが、だんだんファルセットの感覚に慣れていけると思います。

楽に出せるようになったと感じたら、少しピッチを上げてみましょう
くれぐれも力まないように気を付けながらです。

 

では、この予備練習を行いながら、下記の4項目を1つずつ確認します。

うまくいかないときは、その下の解決方法を試してみてください。

①喉がリラックスできているかどうか

喉に手を当ててファルセットでしゃべったときに、喉に力が入っていない

喉に力が入っている

喉に力が入っている場合の解決方法
→首を左右に振りながら声を出して感覚をつかみましょう。

 

②お腹がリラックスできているか

お腹に手を当ててファルセットでしゃべったときに、お腹に激しい変化がない

声を出す瞬間、急激にお腹に力が入る

声を出す瞬間、急激にお腹に力が入る場合の解決方法
→ウエストをひねりながら声を出します。

 

③声に適度な息が混ざっている

息を適度に含んだ柔らかい声になっている

息漏れしている

息漏れしている場合の解決方法
→もっと静かに声を出すようにします。声を押し出すというイメージでなく、声を響かせる感覚です。母音より子音を使ってみましょう。無駄な息を防げます。

 

④息と声の響きの位置が口より上かどうか

響きを顔の正面で感じる

響きが口より下で、喉や胸に詰まった感じがする

響きがロより下で、喉や胸に詰まった感じがする場合の解決方法
→声を上から狙うイメージで声を出します。下から突き上げるように声を狙うと喉を締め付けやすく、響きが喉に詰まります。
また、胸に力が入っている場合も胸に詰まった感じになり、息や声が頭部へ流れません。力と声が切り離されている感じがつかめると完璧です。

 

単音のファルセットに慣れてきたら、今度は短いフレーズに挑戦しましょう。

ステップアップ練習

短いフレーズをファルセットでしゃべってみましょう。
(例)おはよう、こんにちは etc…

家族やお友達を巻き込むくらいの遊び心を持ってしゃべるといいですね。

カエル先生
カエル先生
ちなみにマイケル・ジャクソンは喉に負担をかけないため、高音域を維持するために日頃から裏声で話すようにしていたというのは有名な話だよ
ハリネズミくん
ハリネズミくん
え!じゃあ僕も今日からそうします!…こんにちは!(裏声)
カエル先生
カエル先生
素直でよろしい(ハリネズミくんの場合、三日坊主どころか1時間も持たない気がするが…)

この練習のチェック・ポイントは、単音のとき (基礎練習)と同じです。

喉がリラックスできているか、お腹がリラックスできているか、声に適度な息が混ざっているか、息と声の響きが下がらないかをそれぞれチェックしてください。

 

また、うまくできない場合の解消方法も基本的に単音のときと同じですが、苦しかったり、スムーズに行かなかったりする場合は、単音の練習に戻ってください。
単音での発声がもっと楽になったら、フレーズでの練習に進みましょう。

 

ちなみに、家族や友達やバンドメンバーなど、周りに人がいる状況でこの練習を行うと、「この人ちょっと変?」と思われるかもしれませんが、そんなこと気にしない!
ファルセットを知るためには、少しお馬鹿なくらいがちょうどいいのです。笑
さあ、楽しくテンションを上げて行きましょう!

ファルセット(裏声)の出し方と練習法

ファルセット(裏声)の出し方と練習法

さて、正しいファルセットがなじんできたら、その声で簡単な音階を歌ってみましょう。

この練習も、まず、無理のない音域を繰り返すようにしてください。
力を入れたり、喉を締め付けた状態で練習しても、悪いクセを身に付けるだけ。

無駄なカを入れずに、楽に歌える音域を何度も何度も繰り返しトレーニングしているうちに、声域は広がってきます。
あせって力を入れないように気を付けてくださいね。

基本練習

「ドソラファソミファレド」の音階を母音の「o(オ)」で歌います。

ピアノなどの鍵盤楽器があるとわかりやすくていいですね。
キーは、あなたが楽に歌えるところから始めて、無理のない音域だけを繰り返すようにしてください。

 

また、「o (オ)」で歌いにくい場合は、「u (ウ)」でも試してみましょう。
楽な方で練習してください。口の形は縦長です。

日本人は口を縦にあまり動かさずにしゃべる傾向がありますので、「o」や「u」が苦手な人が多いようです。

 

鏡を見ながら、あなたの口の形が正しい状態になっているか確認しつつ、練習してください。
始めのころは、他のことを気にしていると、いつの間にか口のことを忘れてしまいます。

 

そんなときは、人差し指で唇を支えておいてあげると、意識せずに口の形を維持できて、しかも他のことに注意を向けられますので一石二鳥。試してみてくださいね。

 

では、基本練習を行いながら、下記の6項目を1つずつ確認します。
うまくいかないときは、その下の解決方法を試してみてください。

①喉がリラックスできているか

喉に手を当てて歌ったときに、喉に力が入っていない

喉に力が入っている

喉に力が入っている場合の解決方法
→首を左右に振りながら声を出します。

 

②お腹はリラックスできているか

お腹に手を当てて歌ったときに、お腹に激しい変化がない

声を出す瞬間、急激にお腹に力が入る

声を出す瞬間、急激にお腹に力が入る場合の解決方法
→ウエストをひねりながら声を出します。

 

③歌い終わったときに全身の力が抜けているか

最初から最後まで身体に変化がなく常にリラックスしている

歌い終わったときに最初より力が入っている

歌い終わったときに最初より力が入っている場合の解決方法
→ 1音ずつデクレッシェンド(だんだん音を小さくする)で歌います。

 

④フレーズを歌い終えたらいったん全身脱力し、喉を開き直して、次のフレーズをスタートしているか

脱力→喉開く→スタートがテンポよく流れる

時間が足りず、次のフレーズの1音目が間に合わない

時間が足りず、次の1音目が間に合わない場合の解決方法
→最後の音を短めに歌い、脱力は一瞬で行い次の音に備えます。最後の音より次の出だしの音の方が大事だという感覚で歌ってみましょう。また、息の吸い過ぎも遅れの原因となります。

 

⑤レガートで歌えているか

ブレスの練習と同様に、息と声が一緒になめらかに流れる

強さにばらつきがあったり、音と音がつながっていない

強さにばらつきがあったり、音と音がつながっていない場合の解決方法
→身体をゆっくり左右に揺らしながら歌います。声のばらつきや1音1音アクセントが付いてしまう原因は反動なので、左右に揺れることで声を出すときの反動が軽減されます。ゆったり力が抜ける感じで揺れることが大事です。

カエル先生
カエル先生
ちなみに「レガート」とは音と音との間を切らないように、なめらかに歌うことだよ

⑥息と声の響きの位置が口より上かどうか

終止顔の正面で響きが維持できている

メロディ·ラインに従って響きが口の高さより下に落ちる

メロディ・ラインに従って響きの位置が口の高さより下に落ちる場合の解決方法
→息が必要以上に増えると響きの位置が下がりますので、1音ずつ息を減らすイメージで歌います。息の流れが止まると喉の奥に声がこもるため、息と声の流れを上から前へ流すイメージで歌ってください。また、ファルセットを最後までキープし、メロディ・ラインに合わせて地声に変わらないように気を付けてください。

 

いかがでしょうか?

以上のことを注意しながら、1日10分練習しましょう。

ハリネズミくん
ハリネズミくん
一日10分でいいなら頑張れるかも!
カエル先生
カエル先生
華やかに見えるプロのボーカリストも毎日泥臭くボイトレとか頑張ってるからね

ファルセットの悪いクセを撃退!

ファルセットの悪いクセを撃退!

さて、ここからは、ファルセットの悪いクセがないかどうかの確認をします。

以下の悪いクセががあなたにも当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

 

先ほどの基本練習を行いながら3項目チェックします。

当てはまる悪いクセがあったら解決方法をみて、しっかり撃退しておきましょう。

①息漏れ(声にならない無駄な息)がないかどうか

フレーズを通して息漏れせずに歌える

声より先に声にならない息が漏れている

声より先に息が漏れている場合の解決方法

→息を思い切り吸い込まないようにします。
そして、鼻の前に滑り台をイメージして、声と息をその上にスタンバイさせます。そして、力まず息と声を滑らせます。

それでもまだ息漏れがひどい場合は、「o(オ)」ではなく「lalala (ラララ)」や「mamama (マママ)」など、試して軽く声が出せる言葉を選んで練習します。適量の息で歌えるようになったら「o(オ)」に戻しましょう。

 

声より先に息が漏れるのは、声を出すときに反動が付いている証拠です。最低音から最高音までいつもリラックスした状態で声は出せるんです。「高音=カ」と言う思い込みから早く卒業してくださいね。

また、息の量は会話のときの量で十分です。
たくさんの息を吸い込むと反動が付いて、1音目にほとんどの息が出てしまいます。

力も息も最小限で大丈夫です。そして、声を前に押し出そうとせず、なめらかに自然に流れるようにします。
想像してみてください。滑り台を降りるとき、全く力を入れずに自然に身を任せますよね。逆にどこかに力を入れると、スムーズに滑れなくなるはずです。息と声もそれと同じです。

今あなたに必要な力はイメージ力です。身体の力は一切必要ありません。イメージが浮かばなければ、目を閉じて集中してみましょう。力ではなくイメージです。想像力です。

 

②響きの位置が落ちていないかどうか

すべて同じ響きの位置で歌える

1音目の響きの位置が2音目より下に落ちている

1音目の響きの位置が2音目より下に落ちている場合の解決方法

→1音目をスタートさせたらすぐに2音目へ移動します。そして、1音目から2音目へ行く途中でさらにリラックスします。

1音目に時間をかけると力が入り、喉を締め付けたり、息が増えて声が重くなったりしてしまいます。
1音目も上から狙いましたが、2音目へ移動するときも、同じく上から狙います。3音目以降も同様です。声を出したら待たずにすぐ次の音へ移動してください。

 

また、1音目から2音目へは、音が下がるので力が入りやすくなります。
上手にリラックスできない人は、2音目が重くならないようにデクレッシェンド(だんだん小さく)で歌ってください。すべての音の粒がそろうように心掛けましょう。

 

③途中で地声に変わらない

最後までファルセットで歌える

途中から地声に変わってしまう

声が途中で地声に変わってしまう場合の解決方法

→この場合も、1音ずつデクレッシェンドで歌ってください。

声が変わってしまう原因は力みです。途中で力が入ってしまっているのです。

この練習でも大きな声は必要ありませんので、最後まで力を入れずに歌うことを目指してください。

また、声の響きの位置が口より下に落ちないように意識することも大事です。

以上の悪いクセを撃退できたら、基本練習に戻ってください。

ハリネズミくん
ハリネズミくん
気づかないうちに悪いクセがついてたかも…!
カエル先生
カエル先生
意外とやってみると難しいから毎日基本練習するしかないよ

ファルセットは、練習しながら自分の声を聴こうとせずに、あなたの身体の変化を感じるようにしてください。

あなたの身体があなたにメッセージを送っていることに気が付くはずです。

 

それでは、ファルセットマスターを目指してこれからも頑張りましょう!